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ことばが心に届く瞬間

2012年02月22日

「がんばり過ぎましたね。」

 

 

「あの時の先生の言葉はショックでしたよ。」

 

 

昨日は、開院当初から通院していただいている88歳の方の診察日でした。

 

1年前に呼吸困難で救急搬入になった時に担当させていただいた方で、下肢の浮腫も認める慢性的な心不全の悪化が疑われたため、会ったときに、よくここまで我慢できましたね という気持ちから労いの気持ちで言った言葉だったですが、入院時にそう言われたこの方は、“あーもう駄目なんだ”と思われたようです。

 

まあ、その後状態が良くなられて、誤解は解けたのですが、今でもその時のことを笑い話にされて、こうして元気に通院できることを嬉しく語っていただけています。

 

この言葉のように、医療に関わる人間として、患者さんへの言葉は、さりげないものであっても影響は大きいものだと言うことを認識しなければならないと思います。

 

 

 

今日は、そんなさりげない一言の大切さを、教育やビジネスの分野で幅広く執筆、講演活動を行い、学校や企業の現場で見つけた感動的な出来事を、より多くの人に伝える日々を喜びとされている志賀内泰弘さんのお話からご紹介します。

 

 

 

鹿児島県の池田小学校の先生から、クラス全員に「たった一言で」に続く言葉を次々に書いてもらい、詩の形式にまとめたものが綴られていました。

 

担任の先生は、こう言っています。

 

「たった一言ですが、されど一言。その一言は、ひょっとすると人生をも左右する大きな力を持っているかもしれません」


私は、これを読んで、その昔、入院生活をしていたときのこと思い出しました。

 

毎日1回、担当のお医者さんが必ず病室に様子を見に来てくれました。

 

その都度、「再発するかもしれません」「治っても、ずっと通院が必要です」と繰り返し言われたのです。


事実を伝える義務があることや、ちょっと大袈裟に言って油断させないためであることも理解できます。

 

ありがたいことなのですが、心のなかは真っ暗になっていたのです。

 

その言葉が夜中に蘇り、眠れない夜もありました。


そんなときのことです。

 

午前10時。

 

「おはようございます」

 

掃除のおばちゃんが明るい声で現れます。

 

「ああ、今日は顔色いいわねぇ」

 

この一言で目の前がパッと明るくなったのです。

 

たった一言ですが、何よりの薬になりました。

 

以来、そのおばちゃんのことを影の名医と呼んでいます。

 

 

 

池田小学校のみんなで作った詩です。

 

《たった一言で》 池田小学校・3年2組

 

たった一言で うれしくなる

 

たった一言で かなしくなる

 

たった一言で 苦しくなる

 

たった一言で 楽しくなる

 

たった一言で 泣きたくなる

 

たった一言で 「ありがとう」と言いたくなる

 

たった一言で やる気が出る

 

たった一言で あたたかくなる

 

たった一言で さみしくなる

 

たった一言で わらえる

 

たった一言で 頭にくる

 

たった一言で はずかしくなる

 

たった一言で 落ち込む

 

たった一言で いやになる

 

たった一言で おこりたくなる

 

たった一言で こわくなくなる

 

たった一言で 元気になる

 

たった一言で …

 

                      『みんなで探した ちょっといい話』かんき出版

 

 

 

1984年にラジオで放送されたセイコーの名CMがある。

 

それは、「一秒の言葉」という詩だ。


 

《一秒の言葉》


「はじめまして」

 

この一秒ほどの短い言葉に、一生のときめきを感じることがある


「ありがとう」

 

この一秒ほどの言葉に、人の優しさを知ることがある


「がんばって」

 

この一秒ほどの言葉で、勇気がよみがえってくることがある


「おめでとう」

 

この一秒ほどの言葉で、しあわせにあふれることがある


「ごめんなさい」

 

この一秒ほどの言葉に、人の弱さを見ることがある


「さようなら」

 

この一秒ほどの言葉が、一生の別れになる時がある


一秒に喜び 一秒に泣く

 

一生懸命 一秒

 

たった一言で、我々は元気にもなれば、悲しくもなる。

 

「たった一言」、「たった一秒の言葉」を大事にしたい。

 

 

 

 

先日、セミナーで一緒になった方とお話しする機会がありました。

 

その方は、スピリチュアルカウンセラーをされておられる女性で、透視能力にてその方の視ることができるそうです。

 

ちょっと理解しがたい世界?なのかなあと思いましたが、自分のことをお話しさせていただく中で、彼女から「今、ご自分が思われていることを、信じて進んでください」と言われました。

 

一瞬、“えっ?”って思ったのですが、短い時間の中で何かを感じられたようです。

 

まだお話しして30分も経っていないなかでの出来事でしたが、理由はともかく、すごくうれしくなりました。

 

初めてお会いした方からのたった一言でしたが、これから歩もうとしているまだ見えない道に、灯りをともしていただいたような気持ちになりました。

 

 

最近、“神の手”という言葉が使われていますが、私には“神の声”が必要なのかもしれません。

 

 

そろそろ“山籠もり”でも始めますかね。

 

 

                                     院長 野村

 

 

 

 

 

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