『目尻にくしゃっとしわを寄せ、口を少し開き、にまっとする表情。あ、おばあちゃん、笑ってる。
嬉しいんだね。
眉の間にしわをつくり、いかにも不機嫌そうに口をゆがめ顔をしかめる表情。どうしたの?どうす
ればいい?
これは、私達と祖母との大切な会話です。』
という冒頭から始まっている中学生の女の子が書いた人権についての作文に目が留まりました。
これは、この女の子が10歳の時、脳内出血をおこし、自分で体を動かすこともできず寝たきり
状態になってしまった祖母のことが書かれていました。
元気だった祖母が突然寝たきり状態になってしまい、声掛けに対しても何の反応もないことに対す
る悲しさ。
毎日、看病に行く中で祖母の表情の変化に気づき、何とか自分の感情を必死で伝えようとする生き
る力の素晴らしさ。
入院中の病院で、看護師が祖母が人間らしく生活できるように小さな工夫をしてくれていることへ
の感謝の気持ちが書かれていました。
この家族にとって、祖母が突然の病気で今までの生活が送れなくなってしまったことは悲しい出来
事であり、家族の生活環境自体も一変してしまったと思います。
しかし、そんな祖母とかかわっていく中で祖母の生きようとする力の大きさに気付き、大切な会話
まで見出すことができました。
病気になってしまったことは悲しく、大変なことだと思いますが、病気から気付くものも多かった
のではないでしょうか。
病気にならないように予防することはもちろん大切ですが、患者さん自身が病気になって気付いた
ことも大切にし、患者さんの明るい未来の笑顔へつなげていけるようにかかわっていけたらいいな
と思います。
皆さんの明るい未来には何が見えますか?
看護師 森