先週、取引先銀行の忘年会で医療講演をさせていただいた時に、吉田松陰の「留魂録」のお話をしました。
その第八章には、吉田松陰の死生観が綴られています。
簡単にいうと、今を大切にしていれば、死を迎えることに何ら悔いはないということ。
吉田松陰は、みなさんご存じのように山口県の萩というところで、松下村塾を開き、たった1年と1ヶ月で79名の若者を育てました。
その門下生と言えば、高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、山県有朋などなど。
そしてその門下生の中で、5、6人がヨーロッパに留学しているんです。
言葉もわからないあの時代に、日本を良くするためにヨーロッパに学ぼうと言って。
そしてその門下生の中から総理大臣が二人、初代総理大臣の伊藤博文、二代目の山県有朋。
そのほか10数名の大臣。
こんなすごい人たちばかりなら、もともと優秀な人たちを集めたのではないかと思われそうですが、それが片田舎の若者ばかり、農民の子、武士の子、商人の子、いろいろいたそうです。
別に優秀な人たちを集めたわけではないのに、1年と1ヶ月教えただけで、こんなすごい人たちが出てくる。
吉田松陰はいったい何を教えたのでしょうか?
それは、
“自分は何のために生まれてきたのか”
“自分が生まれてきた役割は何か”
教えてあげたというより気づかせてあげたということだったようです。
“お前の長所はこういうところだぞ。これからそれを活かして、どう世の中の役に立つのか”
自分の長所、役割に気づいた人は、すごいことになるんですね。
でも、自分の役割なんて言われてもそう簡単にはわからないと思います。
そういう時は、吉田松陰はこう言ったそうです。
“至誠を貫きなさい。至誠とは、普段やらなければいけないことを真剣に誠意をもってやることだ。朝起きたら玄関の掃除、鳥のエサくれ、布団干しなど、そういうことを真剣にやりなさい。絶対に手を抜かないで、真剣にやりなさい。そうしたらいつか自分の役割が必ずわかる”
あいさつをする。
時間を守る。
人の話を聞く。
今の我々は、そういうことを誠心誠意やりなさいってことなんでしょう。
仕事では、下積みが長いとどうのこうのって、すぐに何でもしたがる人がいますが、私は下積みはとっても大事だと思います。
その時にはその時にしか気づけないことがあり、経験を積むとそういった経験をすることはできません。
実際、私も勤務していた病院で2年間下積みをさせていただいたからこそ大きな経験をさせていただいたと思っています。
それを教えてくれたS先生の存在は大きいですね。
だから、普段が大事なんです。
普段どれだけのことをやっているのか。
これが大事だと吉田松陰は教えたようです。
“普段の生活で至誠を貫くこと”
“自分だけの人生の役割に気がつくこと”
この二つ!
個人的にも、2年半前に自分の役割に気づいた時にはお酒も止めれたし、今こうして開業もさせていただくことができました。
でもそれは、喜んでいただける人がいるからです。
昨日は、当院では初めての忘年会でした。
みんな不満たらたら?
いえいえそんなことはありません。
どれだけ院長はスタッフに励まされたか!
みんな、毎日の掃除と患者さんへの挨拶や心配り、うちのスタッフはすごいですよ!
おそらく、自分の役割に気づいているからだと思います。
今年もあと2週間。
何かが変われば何かが見えるかも。
院長 野村