先週末は、東京に勉強に行ってきました。
だいたいモノレールに乗って、浜松町からは急いでいるときは、移動にはタクシーを使うのですが、タクシーに乗ると必ずすることがあります。
それは、“話しかける”
どんな感じの悪い運転手さんでも、なんとか話をします。
乗りのいい人、無愛想な人、面白い人などなど。
あまり話が弾まないこともありますが、その時は何とかしようと努力するわけです。
一種のトレーニングでしょうか。
タクシーの運転手さんは、比較的タバコを吸う方が多いので、狭心症の方がおられたり、車内がにわか診察室になったりすることもあります。
そんな時は、運転手さんも喜んでくれて、メーターを止めて、降りやすいところまで連れて行ってくれたりするんです。
嫌な感じの運転手さんだったら、そのままお金を払って無愛想なまま降ろされるのはこちらも嫌だし、そんな時は、何十円かのおつりはいただかないようにしています。
そうすると、どんな嫌な感じの運転手さんでも、必ず「ありがとうございます」って言ってくれます。
なんだか和解したみたいな感じになって、こちらもいい気分で降りれますし、お互いプラスですよね。
こうしたお互いのちょっとした心遣いで、全く違うものを受け止めることができるんです。
今日は、ちょうどタクシーのいいお話しがありましたのでご紹介します。
もう数十年前のことです。
酒に酔って暴れた主人の
「お前なんか出て行け!」
という言葉に、2歳の娘を連れて家を飛び出し、タクシーで実家に向かいました。
30分も走って実家がすぐ目の前になった時、黙っていた運転手さんが口を開きました。
「小さいお子さんを連れてこんなに夜遅く、ご主人とケンカでもしたんでしょう・・・・。詳しいことは聞かないけれど、今日は黙ってこのままご主人の所へお帰んなさい。こんな時間に親御さんの所へ行ったら、心配されて事が大きくなるばかりですよ。 帰りのタクシー代はいいから」
そう説得され、引き返しました。
きっと私の涙顔をバックミラーで見ていて、言ってくれたのでしょう。
私はタクシーを見送りながら涙が止まりませんでした。
「自分で選んだ道、親には心配させまい」
その時から私は心に誓いました。
運転手さんの名前は聞かなかったけれど、一生懸命生きること。
思いやりのある人になることがお礼だと思って今まで頑張ってきました。
この親切は、私にとって本当に心の支えになりました。
[涙がでるほどいい話] 河出書房新社
私も学生時代、夜中に母親と喧嘩して、一度だけ家を飛び出したことがあります。
田舎の国道を歩きながら、“さてこれからどうしようかな”と思っていたら、「どこまで親に心配かけるんだ!」と怒鳴る声が遠くから聞こえて、あまりにも近所に恥ずかしいから、走って家に戻りました。
やっぱり親を困らせることは、心が痛みます。
素直になりたいけど、自分じゃそうなれない時、だれかに背中を押されると助かるってことってあるじゃないですか。
だから、そうしてもらうためにも、まずは自分から話しかけてみてください。
強がったって、いいことなんてないですよ。
この歳になってようやくわかってきました。
今日誕生日の検査技師の河合さんも、この歳になってようやくわかってきたことがあったようです。
二人で、事務の渡辺さんが作ってきてくれたバースデーケーキならぬバースデーイチゴ大福を頬張りながら、開業6か月目を迎えたこの日を嬉しく感じ合いました。
“合掌”
院長 野村