昨日は、妻と二人でスターバックスでお茶しました。(よく考えると初めてかも?)
お店は混んでいて、介護士の試験前だと思われる人、クエッションバンクという医師国家試験を控えた医大生には重要な問題集を解いている人、結構多くの方が、図書館替わりにしている感じですが、こんなザワザワしたなかよく勉強ができるもんだなあと感心していました。
妻は努力派ですが、私はそうではないので、意見が食い違うことがあるのですが、勉強している周りの人たちを眺めながら、勉強のあり方、子供の育て方について語り合いました。
前からよく話していた内容でもあったのですが、意外に場所が変わると、お互い冷静に話せてよかったと思います。
まあ、いつもは、私が興奮して話にならないので、興奮できない場所であえて話すという妻の策略にはまってしまったのかもしれませんが・・・。
普段では、気付けないことを少し環境を変えて、すこし遠くから見ると、何かに気付くこともありますね。
今日は、そんなことを『この一言で子どもが伸びた』などの著者であり、神奈川県の中学校の校長先生でもある中野敏治先生のお話から感じ取っていただきたいと思います。
多くの学校では一学期に学級懇談会があります。
修学旅行が間近に迫っている学年では、懇談会の中で修学旅行の説明会も行われます。
私は、ある年から三年生を担任すると、修学旅行前に保護者と内緒話をするようになりました。
「子どもたちに内緒で、お願いがあります。修学旅行先で子どもたちが家庭に手紙を書きます。その時に、保護者からの手紙をそっと用意しておきたいのです。」とお願いをします。
担任からの急なお願いに多くの保護者はためらい、わが子へ何を書いたらよいのか困っている顔をします。
「『修学旅行を楽しんでいますか?』の一言でもいいのです。お願いをします。みなさんがわが子へ書いた手紙は、封をして、そっと私に届けてください。」
修学旅行当日の朝、生徒たちと見送りの保護者が集合場所に集まりました。
私のかばんの中には、生徒の誰もが知らない保護者からの宝物が入っています。
生徒たちは修学旅行へ行く楽しさが顔に表れています。
みんな笑顔でいっぱいです。
二泊三日の修学旅行の出発です。
毎回、修学旅行の業者の方に
「この子達にとっては、一生の思い出になる三日間です。よろしくお願いします。」と伝えます。
業者の方も「もちろんです。素晴らしい旅にしましょう。」と答えてくれます。
新幹線の中でも、そして京都・奈良に着いても子どもたちは元気いっぱいです。
様々な学習を行い、一日目の活動が終わります。
夕食、入浴を終えた生徒たちは、大きな部屋に集まりました。
班ごとに反省を行い、健康状態を確認しました。
その後、生徒一人ひとりのテーブルに便箋と切手を貼った封筒を配りました。
そして、「家族に旅の便りを」とプログラムを進めました。
ちょっと間をおきました。
生徒たちは何かあったのかと思い、部屋はシーンとなりました。
「みんな目を瞑って。今日一日を振り返ってみよう。みんなの親が朝の見送りをしてくれたこと、
修学旅行へ向けていろいろと準備をしてくれたこと、みんなと一緒に修学旅行へ行けるようにお金を積み立ててくれたこと、一つ一つを思い出してみよう。」
と静かに話をしながら生徒一人ひとりの席を回り、保護者からの手紙をそっとテーブルに置いていきました。
「目を開けてごらん。」生徒は自分の目の前にある名前の書かれた封筒を見て驚きました。
ある子は嬉しそうに、また、ある子は恥ずかしそうにその封筒を開け、読み始めました。
部屋はシーンとしています。
どこからとなくすすり泣く声が聞こえてきます。
そのすすり泣く声は徐々にひろがり、部屋のあちらこちらから聞こえてきました。
流れる涙を友達に見られないように、顔を伏せ、返信を書いている子もいます。
男子も女子もみんな目が真っ赤です。
私には保護者が何を書き、子どもたちが何を返信しようとしているのかわかりません。
ただ、「子思う親と親思う子」の姿がそこには確かにありました。
いつもと同じ場所では、話せないことがあります。
お互いを見つめ合う雰囲気づくりも必要です。
スターバックスでチィティーラテとカフェモカを飲みながら、子供の話をしているカップルがいたら、声をかけてくださいね。
結構、フレンドリーな気さくな夫婦ですので!
院長 野村