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涙の理由

2012年03月13日

3月。

 

卒業式の時期ですね。

 

別れを悲しむ思いと、新しい出会いへの期待にワクワクする気持ちが入り混じって何とも言えない気持ちが沸き起こったのを覚えています。

 

一生のうち、数年しか一緒に過ごすことのない先生や友達ですが、そこから一生のお付き合いが始まる人もいれば、その数年しか関わることができない人もいます。

 

あの時、ちゃんと伝えれば良かった・・・とこの季節になると思います。

 

 

高校3年生の時の担任の先生のお話です。

 

その先生は、生徒からも恐れられてる非常に怖い先生でした。

 

冷静沈着で、常に無表情。

 

3年生になって担任発表があったときは、この世の終わりかと思うくらいがっかりでした。

 

しかし、受験の年で、自分のことで精いっぱいだったので、怒られることがないというよりは必要以上に関わることがないというような感じでした。

 

あっという間に過ぎた1年。

 

進学先も決まり、あとは卒業式を残すだけとなったとき、ふと、この1年大きな思い出はなかったな~と思ったことがありました。

 

とは思っても、まだまだ受験を控えている友人もおり、想い出を残すための行動は起こせませんでした。

 

卒業式の日。

 

式もそれなりに感動して終わり、教室で最後のホームルームがありました。

 

先生がいつもの無表情で教壇に立ち、しばらくの沈黙のあと、表情がみるみる崩れ、嗚咽をあげながら泣き出しました。

 

本当なら、生徒もここで号泣する場面のはずですが、普段の先生とのあまりのギャップにみんな何が起こっているのかわからずポカーンとしていました。

 

そのあと、先生は、泣きながらみんなに『乾杯』を歌ってくれました。

 

それで、十分に私たちのことを想っていてくれていたことを感じ、自然に涙があふれてきました。

 

先生は、私たちに最高の思い出を作ってくれました。

 

心から「ありがとう」という気持ちでいたのですが、伝えることができませんでした。

 

卒業してからも、帰省するたびに会いに行ったりしていたのですが、卒業式という絶好のタイミングを逃してしまった私は、感謝の気持ちを伝えることができませんでした。

 

それから約10年。

 

私の結婚が決まり、先生にも是非出席していただきたいと思い手紙を書きました。

 

私の人生の新たなスタートの日に感謝の気持ちを表現したいと思っていました。

 

しかし、先生からの返事はなく、連絡してみようかなと考えていた矢先、友達から「先生が亡くなった」と連絡がありました。

 

先生の身体、心、環境に何が起こっていたのかはわかりません。

 

ただ、卒業式の日、恥など関係なく全身で私たちへの想いを表現してくれた先生に、きちんと向き合って感謝の気持ちを伝える事ができなかったことが今でも残念に思います。

 

伝えたいことがある。

 

伝えたい人がいる。

 

そう思った時が伝えるべき時だと私は思います。

 

先生に直接伝えることのできなかった「ありがとう」

 

いつか、別の形で伝えることができる日まで大切にしまっておきたいと思います。

 

                                       看護師 森

 

 

 

 

 

 

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