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小さな風穴

2012年02月08日

先日、勤務中に保育園から電話がかかってきました。

 

まさか・・・と恐る恐る電話を代わると予想的中!!

 

「あさひくんが、お熱がでました」と・・・

 

事情を話すと、院長もスタッフも快く早退させてくれました。

 

お迎えに行き、下の子も一緒に連れて病院に行こうかと思っていたら、先生が「お母さん、2人もつれていくのは大変やが!!お兄ちゃんだけ連れていきない!!こはるちゃんは(妹)は保育園で見ちょくが!!」と言ってくれました。

 

次の日は、私の仕事中は妹が私に変わって息子の面倒を見てくれたり、夕方には私の母が心配して串間から駆けつけてくれました。

 

夜には、義理の母から心配の電話をもらいました。

 

 

 

子供の病気を通して、こんなにも沢山の人に支えてもらいながら、仕事・子育てをさせてもらっているんだなと感謝の気持ちでいっぱいになりいました。

 

『支え』

 

目に見えるものではないけれども、人が生きていくうえでとても大切なものだと思います。

 

これは、子育てや仕事だけでなく、核家族化や近隣の人間関係の希薄化が進む現代、介護の場面でも重要なキーワードではないかと感じます。

 

近年、介護を苦にした悲しい事件が増えています。

 

他に方法はなかったのか?といつも考えさせられます。

 

 

ここで、数年前に起こった介護と生活保護の狭間で追い詰められ、悲しい事件に発展してしまった記事を紹介したいと思います。

 

 

K氏は両親と3人暮らしであった。

 

父が他界してから母の認知症が出始めた。

 

K氏は、仕事をしながら1人で母の介護をしていたが、昼夜が逆転したり、俳諧で警察に保護されるなど症状が悪化したため退職。

 

生活保護は、失業給付金などを理由に認められず、介護と両立できる仕事は見つからなかった。

 

カードローンの借り出しも限度額に達し、アパート代やデイケア費も払えなくなり心中を決意した。

 

K氏は車いすで母を河川敷に連れ出し

 

「もう生きられへん。ここで終わりやで」と言うと母は

 

「そうか、あかんか。K、一緒やで」と答えた。

 

K氏が「すまんな」と言うと母は「こっちへ来い」と呼び、自分の額にK氏の額をくっつけ

 

「Kはわしの子や。わしがやったる」と言った。この言葉を聞いてK氏は犯行に至った。

 

K氏も後を追ったが、一命を取り留めた。

 

                                  初公判の記事より

 

この記事を読んで、賛否両論いろいろな意見・考え方があると思います。

 

私は、この親子に小さくても何か支えがあったら・・・もしかしたら違う結果があったのではないかと思います。

 

K氏から「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい。」との供述もあります。

 

きっと、この親子はとても幸せに暮らしていたのでしょう。

 

何十年も幸せに暮らしてきた日々が介護と金銭面の苦悩により見えなくなってしまう。

 

そんな時、行き詰った空気に小さな風穴を開け、風通しを良くするような『支え』があれば、幸せな日々を振り返ることができたかもしれません。

 

 

医療の現場から、そういった役割を担っていけたらいいなと思います。

 

今ある環境に感謝しながら、自分にできることは何か問い続けていきたいと思います。

 

 

                                        看護師 森

 

 

 

 

 

 

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