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その笑顔が開けるドア

2012年06月13日

「あなたの仕事場で見せる笑顔は、家では見たことがない笑顔ね」

 

 

先日、妻からそう言われて、すこし考えさせられました。

 

妻は嫌味で言ったわけではないようでしたが、疲れた顔ばかり見せているのだろうと、申し訳なく思います。

 

 

常々スタッフには、「一番そばにいる人を幸せにできなくて、どうしてそれ以外の人達を幸せにすることができるのか」と言っている割には、説得力のない院長です。

 

 

笑顔の大切さ。

 

 

永六輔さんも、映画評論家の淀川長治さんが、晩年、背筋をちょっと痛めて入院され、お見舞いに行った時に笑顔の重要性を感じたそうです。

 

 


淀川さんの病室のドアに便箋が一枚張り付けてあって、淀川さんの字で、

 

「このドアを開ける人は、笑って開けてください」

 

と書いてあります。


ぼくはいかにも淀川さんらしいなと思いながら、にっこり笑って「こんにちは」と部屋に入りました。

 

そうしたら、ぼくの顔を見た淀川さん、


「あんたはいいの」


「え?だって、笑えって表に書いてあるじゃない」


淀川さんがいうには、あの張り紙は看護師さんに向けて書いたんだ、と。


看護師さんはとにかく忙しい。


仕事もきつい。


だから顔つきがとんがったり、角ばったりしがちになる。


なかなか笑顔というわけにはいかない。


だけど看護師の表情が硬いと、患者はそれでなくとも気持ちが沈みがちなのに、何か悪いことがあったんじゃないかと、余計な心配をしがちになる。


看護婦さんがパッと笑顔で入ってきてくれるだけで、どれだけホッとするか。


それで淀川さんは、部屋のドアに張り紙をした。


そうしたら最近になって、やっと笑顔で入ってくれるようになった、というわけです。


で、淀川さんの部屋を出たあと、ナースセンターに寄ってみたら、


「永さん、あそこに張り紙がしてあったでしょう?見ました?」


と師長さんに聞かれました。


「ええ、見ました。看護師さんが笑うようになったって、淀川さん、いってましたよ」


「そうなんです。淀川先生以外の病室に行っても、看護師たちが笑うようになったんですよ」


そういって師長さんは、嬉しそうに笑いました。


 

便箋一枚に書かれた張り紙が、看護師さん全部を笑顔にした。


看護師さんが笑顔になると、病室全体がなんとなく明るくなった。


            

 

            

 

            『日本に生まれてよかった!』(永六輔&ケン・ジョセフ)徳間書店

 

 

 

明るく元気な声と、笑顔がある人とは、何にか話をしてみたくなりますよね。

 

 

今日、当院にひとつ新しい笑顔が増えたことに感謝します。

 

 

                                     院長 野村

 

 

 


 

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