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幕を閉じる美しさ

2011年12月09日

今日は偶然に世界で現役最年長医師の日野原先生の写真を見ました。

 

やはりオリーブオイルを毎日飲まれているためか、肌がつやつやしていました。

 

 

日野原先生は、どのような医療をされているのか。

 

 

以前TVで回診されている姿を見させていただきましたが、患者さんは、日野原先生をお会いするだけで元気になると言われていました。

 

 

会うだけで元気になる!

 

 

これ以上医療はないですね。

 

 

しかし、ひとには命の限界があります。

 

先日、とある会合で医療講演をさせていただいたとき、吉田松陰の『留魂録』のお話をさせていただきました。

 

その第八節には、吉田松陰の死生観が綴られています。

 

私も医師になって15年、多くの方々を看取らせていただきました。

 

そこでは、ひとの最後の迎えかたについて、医療人としてどう接するべきか、そのひとの人生に関わった医師として、自分の医療が本当に正しかったのかどうか、一番考えさせられる時です。

 

 

そんな想いを振り返りながら、今日は、医師として最も長くひとを見送ってこられた日野原先生のお話をお伝えしたいと思います。

 

 

 

「有限の命を生きる」

 

 日野原重明(聖路加病院理事長・同名誉院長)

 

 

医師になって70年近い歳月が流れました。

 

93歳になるまで私はほぼ5000人の死を看取ってきました。

 

人間は百パーセント死にます。

 

別の言い方をすると、人間は「死の遺伝子」をもって生まれてきます。

 

皮膚が垢になってはがれ落ちるように、私を形作っている細胞一つ一つが有限の命であり、今日、骨髄で生まれた白血球は、1ヵ月後には死んでしまいます。

 

昨日、今日、明日と、コンスタントに生まれてくる細胞があるから、私は今、生かされているわけです。

 

ですから私は、「死」を覚悟する前に、「自分は死の遺伝子をもつ細胞からできている」という意識を持つべきだと思っています。

 

そう考えれば、人間の死は、生の延長線上にある、生の一部なのだということが、おわかりいただけるでしょう。

 

遺伝子というものは、自分で選ぶことのできない、与えられた「運命」です。

 

しかしその「運命」をどう受け止めるかは、自分で考えることができます。

 

その人らしく、命の限界を考えながらね。

 

臨終に際して、人はさまざまな言葉を残します。

 

 「あれもやりたかった、これもやりたかった」

 

 「今死ぬのは嫌だ」等、多くの人が生の執着をもちながら亡くなります。

 

しかし少数ですが、死の間際に

 

 「ありがとう」

 

という言葉を残して、人生の幕を閉じる人もいます。

 

私は、死の床にある最後に、自分が受けたすべてのものに感謝して、

 

 「ありがとう」

 

と言って死んでいける生き方、死に方がしたいですねえ。

 

どれだけの遺産を残したかではなく、「心の遺伝子」を残したい。

 

死にゆく人に「ありがとう」と言われた人の心には、その水分と養分が滲みて、春になると若葉が出る。

 

朽ちた葉が、命を伝えるんです。

 

 

新米医師の頃、初めて患者の死の床に立ち会った私は、

 

 「先生、母から受けた恩に、心から感謝しながら死んだと伝えてください」

 

と告げられ、

 

「しっかりしなさい、死ぬなんてことはない」

 

と叫ぶだけでした。

 

やがてその少女は亡くなりましたが、私は、なぜ彼女の手を握って

 

 「安心して成仏しなさい」と言えなかったのか。

 

あのときの自分は死を否定した、悪い事をしたなあと、心から悔いています。

 

あの出来事が、私の原点だと思っています。

 

どう死ぬかということは、どう生きるかということでもあるのです。

 

 

                             [人生へんろ]  講談社より

 

 

死を意識したら、とても楽になるという人もいます。

 

 

“すべてのひとが必ず迎えるべき時”

 

 

それを意識したら、今をもっと大切にできるかもしれません。

 

 

 

 

ならば今のうちに、若い女の子とお風呂に入ろう!(ちなみにうちの娘達ですので)

 

 

                                      院長 野村

 

 

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