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繰り返す本当の理由

2011年11月24日

いよいよ今週から当院の健康セミナーが3週連続で始まります。

 

まずは、認知症セミナー!

 

今までの認知症セミナーとは一味違ったセミナーであり、正直私も楽しみです。

 

認知症と言えば、私の母も81歳ですので、もしかしてと思うこともありますが、まだまだ元気バリバリに仕事をしています。

 

年に何回かしか会わないのですが、たまに会うと、口うるさく感じることもあるので、軽く聞き流していると、妻から「よく話を聞いてあげなさい!」と叱られるんです。

 

「親子だからいいんだ!」と強がるのですが、こころのどこかでは、素直になれない自分を反省しているんです。

 

いつまでも元気でいるわけではないし、今できることをしておかないと後悔しそうな気もします。

 

 

そんなことを考えていると、親の認知症のことについて、考えさせられる話を知りました。

 

 

 

 

 母が認知症になった。

 

 施設には入れずに、自宅で介護を続けてきた。

 

 施設の見学には行ったが、

 

 母をそこに入れることが不憫に思えた。

 

 3年後。

 

 懸命な介護にもかかわらず、母の認知症は進んだ。

 

 その頃には私も介護に疲れ、少しのことでイラつくようになっていた。

 

 ある日、家の庭に野良猫がやってきた。

 

 母は猫を指差し、「あれは何だい?」と訪ねてきた。

 

 私は「あれは猫だよ。」と、少し冷たく答えた。

 

 母は1分もしないうちに私に訪ねた。

 

 「あれは何だい?」

 

 「母さん。さっき言っただろ?あれは猫だよ。」

 

 私は少しイライラしていた。

 

 母はまたすぐに言った。

 

 「ねぇ、あれは何?」

 

 私は感情にまかせて母を怒鳴った。

 

 「母さん!何度も言ってるだろ!あれは猫だよ!!分からないの!!」

 

 母は恐れるような眼で私を見つめ、それからは黙っていた。

 

 その後すぐに、私は母を施設に入れることにした。

 

 母の荷物をまとめるために部屋を整理していると、古いノートが何冊も出てきた。

 

 パラパラとめくって中身を見ると、それは母の日記で、

 

 私を産んでから数年間、毎日のように書かれたものであった。

 

 私はハッとした。

 

 それを読んでも母を施設に入れる気持ちは変わらないと思ったが、

 

 なんだか申し訳ない気持ちになって、なんとなく読み始めていた。

 

 内容はありふれたもので、

 

 『私が初めて〇〇をした。』というようなことがほとんどであった。

 

 私は大した感動をすることもなく1冊目を読み終えると、

 

 2冊目の日記を読み始めた。

 

 6月3日。

 

 もうすぐ4歳になる息子と公園に行くと、

 

 1羽のハクセキレイが目の前に飛んできた。

 

 息子は「あれは何て言う鳥?」と、

 

 私に何回も何回も訊いてきた。

 

 私はその度に

 

 「あれはセキレイって言うんだよ。」

 

 と、言って息子を抱きしめた。

 

 何度も訊いてくれることが、私をこんなに穏やかにしてくれるなんて。

 

 この子が生まれてきてくれてよかった。

 

 ありがとう。

 

 

 

 

ひとは、子供から大人になり、そして子供になって一生を終えます。

 

多くの高齢者の医療に携わってきて感じることは、お年寄りはとても素直な方が多い。

 

ちょっとしたことでも喜んでくれます。

 

何度も同じことを聞いてくる姿は、本当に純粋な子供たちと似ています。

 

我々は、親になり子育てをしますが、その子供は、恩返しに親育てをすべきなのかもしれません。

 

家族が認知症となったとき、ただ単に病的に扱うのではなく、子供を育てるように丁寧に接する。

 

 

 

こんなことを考えていると、今年の年末に宮崎に来てくれる母には、絶対優しくしようと思いましたが、母はまだまだバリバリ元気なので、しばらくは言いたいことを言い合うちょっとした喧嘩ぐらいがちょうどいいのかもしれません。

 

ただ、喧嘩に負けたら、素直に謝るようにはしたいと思います。

 

    

 

 

                                      院長 野村

 

 

 

 

 

 

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