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床に落ちた涙の想い

2015年08月15日

今日は、戦後70年目の終戦記念日です。


戦後、我が国日本は、敗戦国として現在も大きな責任を問われ続けています。


では、もし日本が勝っていたら、反省の必要もなく、敗戦国に責任を問い続けていたのでしょうか。


“お詫び”


安倍首相の談話に関して、いろいろな意見があることは仕方がないことですが、政治に限らず、この日本の社会は、誰が責任を取るのかということばかりが、大きな問題として存在しています。


戦争反対!


これは、誰しもが願っている共通の想いであり、政治家、自衛隊に関わる人達すらも同じ想いではないかと思います。


しかし、今までの歴史の中で、その当時はどうすることもできなかった現実があったことも事実です。


日本では戦後という認識がありますが、世界中では今もなお戦争は続いています。


その原因は、ほとんどが権力闘争、宗教問題です。


自分との考えが違うために、大きな組織を作り、己の利益のために不都合な人を排除する。


戦争は遠い国の問題ではありません。


我々の隣国には、自分達の利益を優先するあまり、拉致や他国の領域で実効支配という行動をとる国があります。


おそらくこの問題は、そう簡単には解決しないでしょう。


なぜなら、文化・思想が違うため、我々が常識だと思っていることや理屈が通じない。


しかし、この問題を何とかしようとして、我々の代わりに働いてくれている人が政治家なのです。


その政治家を上手くいかないから責任がどうだとか国民が責め、政治家同士が非難し合う姿は、非常に残念でなりません。


人と人が違うように、国が変われば考えも違います。


私達は、その違いをどう受け止めて共存していくのか、人の成長のために、この違いを知ることが重要なことのように思います。



“国は教育が創る”



我々がこれから多くの問題を乗り越えていくために必要なことを、福岡市の小学校教諭である香葉村真由美先生のお話から考えてみたいと思います。



    


この年、受け持った一人にシュウがいます。


シュウは一年生から四年生まで辛いいじめに遭い、五年生になると急に攻撃的になりました。


クラスメイトを叩く、殴る、暴言を浴びせかける……。


その行為は次第にエスカレートしていきました。


六年生になったシュウのイライラが募り始めたのは五月、体育会の練習が始まった頃からでした。


リレーで抜かれるだけで怒って砂を投げたりするのです。


みんなは「シュウを何とかしてください」と訴えます。


私も何度も話したり、怒ったり、褒めたり、考えられる限りのあらゆる手を尽くしましたが駄目でした。


 逆に蹴られ、唾や砂をかけて反抗されるばかりでした。


自宅に帰り、洋服の砂を払い落としながら、それまで抑えていた涙が溢れました。


悔しくて、情けなくて大声で泣いた日のことをいまも覚えています。


その次の日、シュウは学校を休んでいました。


私はみんなに「ごめんなさい」と謝りました。


「先生はシュウもこの教室から卒業させてあげたかったけど、先生一人ではどうすることもできない。でも、先生は諦めきれない。人を信じること、人を好きになることを、どうかみんなでシュウに教えてあげてほしい。そのかわり先生はみんなを全力で守るから……」


私のその声にみんなは「先生やろう。シュウがいたからこんないいクラスになったと言えるように、
一緒に頑張ろうよ」と答えてくれました。


子供たちは大きく変わりました。


皆がシュウの行動を受け入れてくれるようになったのです。


叩かれてもジッと我慢し、叩こうとするシュウに「怒っているんだね。でも人を叩いたらいかん」と
毅然と言い放つ子も出てきました。


その姿を見て私も命を懸けてシュウにぶつかることを決意したのです。


ある時、シュウは私に、なぜ自分がこんな態度をするようになったか分かるか、と質問してきたことがあります。


「分からない。何があったの」


沈黙の後、彼は言いました。


「俺は、俺は、ただ友達が欲しかっただけなんだ!」


そう言うと爪で床を引っかき大声で泣き始めたのです。


私はそんなシュウが愛おしくて、いつまでもジッと抱きしめていました。


シュウが笑顔を見せ、みんなに心を開くようになったのは、それからです。


私はどんな子にも素晴らしい可能性があることを知っています。


教師に大切なのは、可能性をどこまで信じ切れるかです。


信じ切っていれば子供たちは絶対に裏切ることはないのです。




      香葉村真由美(福岡市小学校教諭)『致知』2011年5月号「新たな地平を拓く」より





シュウ君の話は、日本ではよくあることです。


これが、世界レベルになると戦争という形になるのでしょう。



先日、長女が「ともだち」を題材にして作文を書くと言っていたので、このシュウ君の話をしました。


すると、長女の同級生にも同じような子がいるそうです。


長女はやさしい子ですが、でも正直その子は苦手と言っていました。


「じゃあ、苦手だったら仲良くないから友達じゃないんだ?仲間外れにする?無視する?」と聞いたところ、すごく悩んでいました。


すこし意地悪な質問だったかもしれません。


しかし、娘はシュウ君の話を聞いて、ハッと何かに気がついたようでした。


私達は、苦手だからこそ、理解し合えないからこそ、大切なものを学んでいます。



人を信じること、人を好きになること。



あの戦争があったから、今こうしてすばらしい日本になったといいたい!



それが、戦争というものを考えるとき、今日の日本の平和と繁栄が、戦没者の尊い犠牲の上に成り立ち、そして、祖国のために心ならずも戦場に赴き命を落とさなければならなかった方々に対し、心からの哀悼、敬意及び感謝の気持ちを捧げることに繋がるでしょう。



世界平和は我々の目の前の人間関係から築くことができます。



そのためには、みなさんの心と体が健康であることが大切です。



                                       院長 野村


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