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苦しみが足らないバット

2014年01月04日

皆さん、明けましておめでとうございます。

 

昨年は、年末の忙しさを理由にブログの更新もできず、皆さんにきちんとしたご挨拶もできませんでした。

 

今年は、本日から当院は仕事始めでしたが、お正月にTVに出演した影響もあって、初めて来院される方もおられたり、県北からも来院したいという問い合わせもあるなど、早速TVの影響力を感じつつ、新しい何かが始まったような気がした日でした。

 

以前は医療には宣伝は必要ないという考えがあり、開業してから広告らしきものはあまり取り入れていませんでしたが、最近、患者さんからのお話をいろいろと聞かせていただく中で、県外の○○病院はこのような治療をされているので受診したということをよく聞くようになり、そういった方々が、治療が上手くいって元気になられている姿を見ると、患者さんに様々な医療の姿を知っていただくことは必要だと感じるようになりました。

 

しかし、当院は最新の医療機器を備えている病院ではないため、TVのオファーをいただいた時には、少しためらいもありましたが、我々のような生活習慣病を診させていただくクリニックにもこのような形があるということを知っていただきたいと思いました。

 

多くの疾患は、生活習慣からの積み重ねにて生じるものであり、これからの時代は、間違いなく予防医学を必要としてきます。

 

毎日の積み重ね、物事の一つ一つの大切さが、将来大きな意味を成すことになるでしょう。

 

 

では今年、新たなスタートを切るにあたり、この小さな積み重ねの大切さを、今年もイチローのお話から感じていただきたいと思います。

 

 

 

 

私も年に一度はシアトル・マリナーズのホームグラウンドへ足を運んでいるが、基本的に野球観戦ではなく、イチローを見に行っているのである。

 

その際、一塁側の観客席からはベンチでのイチローの様子が窺えないため、相手方の三塁側に座ることもある。

 

そこから双眼鏡でマリナーズベンチを覗いてみると、味方の攻撃中にもかかわらず、なぜかイチローはほとんどベンチにいないのである。

 

テレビで観戦していても、誰かがホームランを打ってチームメートがハイタッチしている輪の中でイチローを探しても、まずいない。

 

もちろん打順が回ってくる時はスタンバイしているが、それ以外はロッカールームで次の守備に備えてアンダーウェアを着替えている。

 

とにかく彼は準備に準備を重ね、備えを怠らない人だ。

 

なぜ準備をするのかということについて、彼は昔 「言い訳を最小限にするためだ」 と言っていた。

 

例えば前の晩にグローブの手入れを忘れたとする。

 

翌日の試合でたまたまミスをすれば、 「昨日グローブの手入れを忘れたから」 と道具のせいにしたり、言い訳したくなるものだが、彼はそれを許さない。

 

そこまで徹底して準備をするイチローは当然「ミス」がほとんどないのだが、2004年の7月17日のクリーブランド・インディアンズ戦で貴重な(?)凡ミスをしたのである!

 

ライトヘの凡飛球をグローブに当てながらも落球してしまったのだ。

 

この日のインタビューで、彼は 「ルーティンのフライボールを落とすということは、野球を始めて以来、一度もなかったと思います。野球の基本を見直す機会にしたいと思います」 と答えている。

 

これほどの選手が「基本を見直す」と言う自体がすごいが、さらにすごいのは、その「見直し」が行われたであろう翌日の18日から打ちに打ちまくり、8月17日までの28試合で132打数67安打の記録を残したのである。

 

イチローはヒットで出塁し、ホームインしてベンチに戻ってくると、すぐにバットケースから自分のバットを取り出し、いまのヒットはバットのどこに当たったのかを見ながら、いったんバットボーイの手に渡ったバットを自分の道具として取り戻すためにチェックしているのだ。

 

職人は毎日同じ仕事をしていても、日々の仕事の見直しや点検を決して怠らないものだが、ことバッティングに関して、毎打席、見直し・再点検を行っているイチローには恐れ入る。

                         山本益博(料理評論家)『一流たちの金言』

 

年末のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(12月16日放送)では、「イチロー4000本への道」と題し、イチローの独占インタビューが放送されましたが、イチローは4000本安打の偉業達成も、「ヒットを打ってきた数というよりも、こういう記録、2000とか3000とかあったんですけど、こういうときに思うのは、別にいい結果を生んできたことを誇れる自分では別にないんですよね。誇れることがあるとすると、4000のヒットを打つには、僕の数字で言うと、8000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思いますね。これからも失敗をいっぱい重ねていって、たまに上手く行ってという繰り返しだと思うんですよね。何かを、バッティングとは何か、野球とは何か、ということをほんの少しでも知ることが出来る瞬間というのは、きっと上手く行かなかった時間とどう自分が対峙するかによるものだと思うので、なかなか上手く行かないことと向き合うことはしんどいですけど、これからもそれを続けていくことだと思います」と語りました。

そして、「(衰えは)本当はしたくない。そのままずっと上がっていきたいけど、なかなかそうはいかない。プロ生活22年になりますけど、ハッキリしているのは近道はないということ。まだね、やれることが沢山あるというよりは苦しみが足りないっていうか。そんな感じなんですよ。それが十分になったら辞めようかなと思いますけどね」と独特の表現で自身の向上心を表現しました。

私は、この “ 苦しみが足らない ” というイチローの言葉にとても感動しました。

苦しみによって自分を支えているということ。

私達は日々、厳しい環境にいると、自分に負けそうになる時があります。

仕事も家庭も体調も、上手くいかないとすごく悩みますよね。

でも、その苦しみを乗り越えようと、皆さん努力するじゃないですか。

そういう時って、すごく自分を成長させる時だと思います。

私も、そういう時に遭遇すると何か研ぎ澄まされた気持ちになって、不思議な力を感じる時があるのですが、もしかして、この感覚を常に求めているのかもしれません。

 

今年は、当院の医療を多くの方々に知っていただく年になると確信していますので、期待に応える努力を積み重ねていきたいと思います。

 今年も皆さんの健康を願っています!

                                        院長 野村

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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