週末は、大切な人に会いに行きました。
その飛行機の中で、とても印象的なお話に出会いました。
「ヘレン、どうしてあなたは、みんなが嘘つきだと思い込んでいる子と一緒にいるの?」
「みんなですって、ジェーン? どうしてそんなことを言うの? あなたが、あんなふうに言われてのを聞いていたのは、たった80人よ。世間には何億って人がいるわ」
これは19世紀の英国を舞台にした小説 “ジェーン・エア” の一節です。
男尊女卑の階級社会の中で、孤児となった主人公ジェーンは、10歳で理不尽な叔母の家を出て、寄宿学校に入学します。
自分を変えてまで必死にみんなに溶け込もうとするが、校長は、彼女を恩知らずの嘘つきだと全校生徒の前で決めつけてしまいます。
冒頭の会話は、ひとり取り残されて死にたいとまで思い詰めるジェーンと、親友ヘレンとの間で交わされるものですが、二人の会話には続きがあります。
「自分が正しいと信じなければいけないことは分かっているの。だけど、他の人が私を愛してくれないのなら、死んだほうがまし。一人ぼっちは嫌よ」
「大丈夫よ、ジェーン。人がどう思っても、あなたの良心が正しいと言うなら、必ず味方はできるわ」
“人間は平等である”という信念を貫き、自分の良心にのみ従い生きるジェーン。
私も、ジェーンのように“自分の本心”がどこにあるのかを問い続けてきたような気がします。
しかし、ヘレンの言葉には、私も心に染みました。
24年前、高校3年生の夏、いきなり医者になりたいと言った時、学校の先生達はまともには受け止めてはくれませんでした。
でも母親は、進路指導室での面談で、「父親はいないけれども、この子がやりたいと言ったことはさせてやりたい」と言ってくれた時、あの時の母親は、私にとっての親友ヘレンだったのかもしれません。
今日は母の日。
40歳も過ぎると、感謝の気持ちも上手く伝えられないので、こんな形で感謝したいと思います。
ということで、いつもブログを読んでいただいているみなさん。
残念ながら、今日は照れずに終わります。
院長 野村