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言葉を超えて伝わる想い

2012年05月03日

先日、子供たちが遊んでいると突然、『ゴンッ』と大きな音がしました。

 

振り返ると、息子が椅子で頭を打ったらしく、一点を見つめグッと痛みをこらえていました。

 

「痛い?大丈夫?」と尋ねると、

 

首を横に振り、涙声で「痛くないもん!!」と一言。

 

少し離れた場所に移動し、体育座りをしてグッと痛みが引くのを我慢していました。

 

恥ずかしいのかな?プライドか?なんんて考えながらも、そんな息子の後ろ姿を見ながらしみじみ成長したな~と感じました。

 

ここ最近の彼の行動を振り返ってみても、成長を感じることが多くあります。

 

父が亡くなった時も、泣いている私の隣にそっと来て、黙って手を握ってくれたり、ハンカチを差し出してくれたり。

 

言葉では伝えられない彼の優しさを、精一杯全身で表してくれたのだと思います。

 

握りしめてくれた小さな手はとても力強く、精一杯の優しさで包んでくれてとても心強く感じました。

 

親の思いとして、もっとこうなってほしいとか、こんなことが出来るようになってほしいとか思いはたくさんありますが、それは、私たち親の価値観ですね。

 

彼は彼なりにたくさんの人たちと触れ合う中で、少しずつ優しさを身につけていたようです。

 

ここで、一つの家族のお話を紹介したいと思います。

 

 

ある夫婦に結婚3年間にしてやっと長女ができました。

 

その女の子は知的障害児で、日常生活には何の問題もありませんが、自分の名前を漢字で書いたり、

 

足し算、引き算をしたりすることはできません。

 

染色体の異常により、脳細胞や体の筋肉が通常の1/3位しか発達しないため、物を持ったり、走ったり、歩いたりするなど、何かをする能力は1/3くらいしかありません。

 

小学校5年生まで、運動会の徒競走はビリでした。

 

小学校6年生の運動会に行く前、お母さんはとても楽しそうでした。

 

夫が「今日はいつもより楽しそうだね」と言うと、

 

「初めて、徒競走でビリじゃない姿をみられるかもしれない」という返事。

 

話を聞くと、同級生の女の子が1週間前に捻挫をして包帯をぐるぐる巻いている状態だったそうです。

 

走れる状況ではなかったのですが、本人がどうしても走りたいと言い、困った先生は最終組で長女と一緒に走らせることにしました。

 

お母さんは、ニコニコ笑いながら長女と二人、手をつないで出かけていきました。

 

夕方、ニコニコして帰ってきたので夫が「どうだった?」と尋ねると

 

「それがまたビリだったのよ」と楽しそうな顔で答えました。

 

経緯を聞くと、8人で競争をしたのですが、健常児が6人が50mのところを走っているとき、長女は15m、捻挫をしている女の子は10mのところを走っていたそうです。

 

長女は後ろを振り返り、気にしながら前を走っていたところ、何座をした女の子が転んでしまいました。

 

それを見た長女は、「大丈夫?」と言って逆走し、その子を助け上げ、肩を支えながら一緒にトコトコと走り、ゴールする前に捻挫をした子の肩をポンと押し、その子が先にゴールしたそうです。

 

父兄が二千五百人くらい来ており、みんなが立ち上がり拍手で応援してくれ感動的な光景だったそうです。

 

 

長女は、誰かにこうしなさいと教わったわけではなく、自分が感じたことや、周囲からうけた暖かさから自然に優しさ、思いやりという気持ちが生まれてきたのではないでしょうか。

 

長女にとっては何とも思っていない行動が、先生や生徒、二千五百人の父兄を暖かい空気で包みこんだでしょう。

 

その暖かさを感じた人は、今までの自分の価値観とは違った想いを感じたのではないでしょうか。

 

 

「こうでなければならない」「こうであってほしい」と自分の価値観で周りの人を見たりしがちですが、人の価値観はそれらと違うところにあるのではないでしょうか。

 

 

そばにいてくれるだけで、幸せを感じさせてくれる存在。

 

時に、言葉を超えて伝わる想いもあります。

 

きっと、我が家の子供たちもそんな想いをたくさん発しくれているのではないでしょうか。

 

小さな精一杯の優しさで私たちを大きく包んでくれる子供たちの想いを、大きな器で受け止めることができるように。

 

 

 

まずは・・・昨日、雷を落としてしまったことを振り返り、反省すべきところは反省したいと思います(^_^;)

 

そして、この連休、めいっぱい遊びたいと思います。

 

                                      看護師 森

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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