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思いやりのラッピング

2012年01月20日

今日はなんだか、お腹の調子が悪く、いつもの軽快なトーク?がイマイチでした。

 

こういう時は、誕生日にいただいたお花を見て、喜んでくれる人がいることに感謝しながら元気をだそうと思いました。

 

 

ところで、お花と言えば、当院にもかかりつけ花屋みたいなお花屋さんがいて、いつもいろいろ相談をしています。

 

しかしこのお花屋さん、そう簡単にお花屋さんとは思えないお店の雰囲気なんです。

 

マスターは、自分たちのスタイルを分かって頂ける方々とお仕事がしたいと言われていて、なんだか当院のスタイルと似ているような気もして、開業からお世話になっています。

 

お花は人の気持ちを美しくするので、お店の方の人柄もいい方が多いですよね。

 

このお店のマスターも穏やかないい方です。

 

 

ということで、今日は、お花屋さんのいい話をしたいと思います。

 

 

 

 

こんなお花屋さんがあったらいいですよね。

 

 

 

 

 

6年ほど前の今頃は、花屋に勤めていた。

 

毎日エプロンをつけて店先に立っていた。

 

ある日、小学校1年生ぐらいの女の子がひとりで花を買いに来た。

 

淡いベージュのセーターにピンクのチェックのスカート。

 

肩の辺りで切り揃えた髪が、動くたびに揺れて愛らしい。

 

フラワーキーパーの前に立ち止まり、真剣な面持ちで花を選んでいる。

 

母の日でもないし、クリスマスでもないし、何のプレゼントかなぁと思って、しばらく様子を見ていた。

 

あっちを見たりこっちを見たり、あまりにも一生懸命でなかなか決まらない様子だったので、「誰かにプレゼントするの?お誕生日?」と声をかけてみた。

 

少女は首を横に振る。

 

「お母さんにあげる」と言う。

 

「お母さんお花が好きなん?」と聞くと、今度は首を縦に振る。

 

こんなおっさんが相手したら緊張して言葉にならないかなと思って、ニコニコ笑顔を頑張ってみた。

 

しかし、少女の口から思いがけない言葉を聞いて、胸がつまった。

 

「パパが死んじゃったの。ママ元気ないの。だからお花あげるの」

 

そんな言葉を口にしながら、一生懸命お花を選んでいる。

 

泣きたい気持ちで爆発しそうになった。

 

「そっかぁ。。。お母さんきっと喜ぶねぇ」

 

笑顔を頑張れなくなってきた。

 

それから色々話を聞いてみると、つい最近お父さんが亡くなったこと、お母さんが時々泣いているのを見かけること、おばあちゃんに、お母さんがどうしたら元気になるか聞いたら、お花がいいよって教えてもらったことが分かった。

 

レジの後ろへ駆け込んで、しゃがみこんで急いで涙を拭いて、パンッパンッと頬っぺたを叩いて気合いを入れなおした。

 

「どれにしよっか?お母さん何が好きかなぁ?」

 

「これがいい」

 

指の先にはチューリップ。

 

鮮やかな明るいオレンジ色。

 

「うん、チューリップかわいいね。じゃあ、リボンつけるからちょっと待ってて」

 

女の子は大人しくじっと見ている。

 

「お母さん早く元気になるといいね」

 

「うん」

 

出来上がった花束を大事そうに抱えて、ニッコリ笑ってくれた。

 

「ありがとう」

 

「気をつけてね。バイバイ」

 

と言って手を振った。

 

元気よく手を振りかえしてくれると思ったら、ぺこりとおじぎをした。

 

小さな女の子が頭を下げる姿を見て、限界に来た。

 

どしゃぶりの雨のように涙が溢れて止まらなくなった。

 

もっと他に言ってあげられることはなかったか、してあげられることはなかったか。

 

そんな時に限って何にも出てこない。

 

急に思い立って、駆けていく少女を追いかけた。

 

「ちょっと待って!」

 

振り返ってきょとんとしている。

 

「ちょっとだけ待ってて」

 

店に入ってきたばかりの小さな小さなチューリップの鉢植えを急いでラッピングして、メッセージカードに「はやくげんきになりますように」とひらがなで書いた。

 

その時初めて名前を聞いた。

 

「みかより」と書き添えた。

 

「これも一緒にプレゼントしてあげな。これは親指姫っていう名前のチューリップやねん。かわいいでしょ?」

 

「うん。ありがとう」

 

もう一度、さっきより、もっといい顔をしてくれた。

 

「バイバイ。ありがとうね」

 

「バイバーイ」

 

花よりも何よりも輝くように明るい笑顔だった。

 

後日、お母さんと、おばあちゃんと、みかちゃんが店にやってきた。

 

わざわざお礼を言いに来て下さったのだ。

 

ピンクのチューリップで花束を注文して下さった。

 

「この子はピンクが好きなんです。私がオレンジ色が好きなものですから、こないだはオレンジを選んでくれたみたいで」

 

みかちゃんはただニコニコしている。

 

花束を本当に嬉しそうに抱えながら、お母さんとおばあちゃんを交互に見上げる。

 

「よかったね」

 

おばあちゃんが頭をなぜる。

 

お母さんは優しい顔で見ている。

 

「うん!」

 

お母さんはきっと元気になられたことだろう。

 

小さな小さなみかちゃんの笑顔は、今も明るく輝いていることだろう。

 

 

 

 

 

先日、当院へ宮崎県の国富にある病院の奥様が受診に来られました。

 

看護師でもある方ですが、とても爽快な方という表現が似合う方で、久々に男前の女性に会った気がしました。(褒め言葉ですので)

 

いろいろお話しを聞かせていただいたのですが、特に心に残ったのが、町医者という存在で、夜間も患者さんの対応をしている中、電話がかかってきて、話を聞いてもそれほど重傷でない感じだけど一人では来れないし、救急車を呼ぶほどでもないから自宅まで迎えに行って、病院で診察して大したことがないけれど、帰すにも心配だから一晩病院で様子観たりされているのよって言われていたこと。

 

自分のことではなく、困っている人の気持ちになって行動されていて、この方は、本当に思いやりがある方だなあって思いました。

 

こういったことがスンナリとできる。

 

今回の被災地にも数か月JICAのスタッフとして参加されているとも聞きました。

 

ものすごいパワーのある方です。

 

正直、この方と一緒にお仕事ができたらいい病院ができるなあって感じました。

 

 

 

お花屋さんといい、この方といい、目の前にいる人に何ができるのかと考えつつ、すぐに行動ができる人。

 

 

カッコイイですよね。

 

 

なんだかお腹の痛みなんて大したことなくなってきましたので、明日も診療頑張ります!

 

                                     

 

                                      院長 野村

 

 

 

 

 


 

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