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不自由な右手が伝えるもの

2013年02月24日

胸が痛い。動悸がする。ふらつく。めまいがする。体がだるい。

 

循環器内科である当院には、このような症状で来院される方々が多くおられます。

 

狭心症、不整脈、心不全、貧血、高血圧など、当院ではこのような症状を生じると思われる疾患に対して診察や検査をさせていただくのですが、結果として循環器的には異常はないことがあります。

 

ほとんどの患者さんは、結果を説明をさせていただくと「よかった。安心しました。」と言われるのですが、患者さんによっては「では、この症状は何が原因ですか?」と、さらに不安を感じられ、循環器的に問題ないのであればと、脳が心配になって脳外科を受診し、女性であれば更年期障害かもと婦人科を受診されることがあります。

 

心配性という方なのかもしれませんが、しかし、本人は真剣です。

 

確かに、さらに精査をすると原因となる疾患が見つかることがあるため、いろいろな病院を受診されることは大切なことです。

 

しかし、すでに多くの医療機関を受診された方は、「どこに行っても大丈夫と言われる。」と解決方法が見つからないことにさらに落胆されます。

 

そういった方を目の前にすると、“なんとかしてあげたい。しかし・・・”

 

いろいろなことを考えると、自分がどこまで介入すべきかなどと、こころにブレーキがかかったりします。

 

日常生活でもこういった状況に遭遇することもあるので、自分の気持ちを素直に表現し行動されている方をみると、本当に羨ましく思います。

 

 

今日は、そんな気持ちをちょとした勇気に変えてくれる心温まるお話がありましたのでご紹介します。

 

 

 

 

冬休みに入って間もなく、電車に乗りました。
 
アルバイトで疲れ、少し人間関係がイヤになっていたとき…ふと前を見ると、右手の不自由なおじさんが乗ってきて、私の左側に座りました。
 
そして、片手で一生懸命本を読み始めました。
 

ちらっと横目で見たら、1ページ1ページめくるのが大変そうで、思わず片手をサッと出して本のはしを持ってあげました。
 
黙って見ていられなくなってしまって、役に立ちたいと思ったからです。
 
おじさんは遠慮して、
 
「あっ、大丈夫ですよ」
 
と言って、すぐに読みかけの本をしまって、しばらくうつむいてしまったのです。
 

次の駅に着いたとき、おじさんは目に涙を浮かべながら、
 
「やさしんですね…」
 
と言ってくれました。
 
胸のどこかでじーんとした喜びがありました。
 

その直後、下車するようだったので、勇気を出して、
 
「がんばってください!」
 
と言えて、また、じーんとした熱い思いがこみあげてきました。

 

 

   『涙が出るほどいい話 第六集 埼玉県新座市 石川起子(16歳)』 河出書房新社
 

 

 

人に話した言葉は、実は、自分に話しています。
 

相手を励ませば、自分を励ますのと同じ。


 

「困っている人に言葉をかけていますか?そんな人に対して何が出来るだろうか?」

(デール カーネギー)
 

ちょっとした勇気があれば、人に優しく、親切にすることができます。

 

 

当院は、最先端の医療も手術もできないのですが、これからもご縁がある方々に、“ 何か役に立ちたい ” という気持ちを少しでもかたちにしていきます。

 

 

                                  院長 野村

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